アスクレボロスは、我々の知る地球とは異なり、魔法が息づく神秘的な世界である。この異なる次元に浮かぶ星は、二匹の巨大な神蛇、「アスクレ」と「ボロス」が絡み合うことで生まれたと古の時代から語り継がれている。
「アスクレ」は豊穣や安寧、秩序をもたらす力を持ち、一方の「ボロス」は、死と変化、そして破壊を司る存在だ。二匹の神蛇の戦いにより生じた神々の力がこの世界に魔法をもたらし、アスクレボロスはその魔力に満ち溢れている。
この地には、人間や魔物、獣人といった様々な種族が調和を求めて共生している。だが、彼らの間には時として紛争が起こり、争いが絶えることはない。特に人間は、とある事件がきっかけで魔力の加護を失い、他の種族に比べて遥かに脆弱な存在になってしまった。
かつては高い知力によって魔力を自由に操られた人間たちは、その力を失ったことにより、人間以外の勢力から戦いに挑まれることが多くなり、敗戦し続けてきた。人間と他の種族勢力との力の差は日に日に拡がり続けており、人間の未来は、暗い影が覆うほどに厳しくなってきていた。
しかし、ある神様のミスでこの絶望的だった状況を一変させたのであった・・・その話はいずれか機会があればお話しましょう。
さて、森の外れに位置する小さなフォル村にいる少女の名は”シャノン”、きれいな黒髪で、笑顔がとってもかわいい女の子である。シャノンは、農民であるファイリーブ家の一人娘であり、裕福ではないが家族と共に幸せに暮らしている。
彼女の性格は少し控えめだが、可愛らしいものが目の前に現れると、最高にキュートな笑顔が溢れ出るのだ。
シャノンには、皆から少し不思議に思われている事がいくつかあるのだ。 それは、彼女が幼い頃、何度か危険な魔物たちと遭遇したにも関わらず、命の危険どころか、いつも無傷でいられたのだ。
しかも、その魔物たちは、なんと、彼女との遭遇後、精神的なダメージを受けたような、疲れたようすでシャノンから逃げ去ることが多かった。 シャノンは、その度に逃げる魔物を指差して、悲しげに「にゃんこ・・・・」とつぶやくのだ。
実は、この「にゃんこ」という言葉は、村人や両親には理解できない言葉であった。なぜなら、この世界には「ネコ」という生物が存在しないのだ。
そして、彼女の背中には目立たないネコの痣があるのだとか・・・・。
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